メンズエステの顧客カルテの書き方|記載すべき項目一覧とNG例
「常連さんのことは全部覚えている」——受付を長くやっていると、そう思いたくなります。ですが在籍セラピストが3人を超え、指名が入り乱れ、シフトが日替わりになった時点で、記憶は店舗の資産になりません。メンズエステの顧客カルテは、接客の質を個人の記憶から店舗の仕組みへ移すための道具です。この記事では、実際に書くべき項目を7分類で一覧化し、他のスタッフが読んで動ける書き方、そして書いてはいけない内容までを整理します。
顧客カルテが「書いた本人しか読めないメモ」になる理由
顧客カルテを作っている店舗は少なくありません。それでも「カルテを見ても分からないので、結局その日の担当に電話で聞く」という状態は本当によくあります。原因はほぼ3つに集約されます。
- 項目が決まっていない:自由記述の欄が1つだけあり、書く人によって内容がまるで違う
- 言葉が主観的:「強め希望」「感じのいい方」など、読んだ人が再現できない表現になっている
- 読むタイミングが決まっていない:書く習慣はあるが、来店前に開くルールがないので使われない
逆に言えば、この3つを決めるだけでカルテは機能し始めます。判断基準は一つです。「明日、別のスタッフがこのお客様を担当しても同じ接客ができるか」——これを満たす記述がカルテ、満たさない記述は個人のメモです。
メンズエステの顧客カルテに書くべき項目【7分類の一覧】
項目を増やすほど埋まらなくなります。以下は複数店舗の運用で残った「実際に使われた項目」です。まずはこの分類を土台に、自店に不要なものを削って使ってください。
1. 基本情報
- 呼び名(お客様が呼ばれたい名前。本名と別の場合は必ず併記)
- つながる連絡手段(電話が出られる時間帯か、LINEのみか)
- 初回来店日・流入媒体(どのポータル・紹介・SNS経由か)
2. 予約・来店の傾向
- よく使う曜日・時間帯、平均来店間隔(例:金曜20時台/平均24日)
- 予約経路(毎回電話/媒体の予約フォーム/直LINE)
- 当日予約が多いか、事前予約型か
この2つ目の分類は、リマインドや空き枠の案内をいつ誰に送るかを決める土台になります。来店間隔が分かると、離脱の予兆にも早く気づけます。
3. 施術・好み
- 選んだコース・オプションの履歴
- 圧の強さ(後述のとおり数値で)、苦手な部位・施術
- 室温・照明・BGM・会話量の希望(「施術中は静かに過ごしたい」など)
4. 身体・注意事項
- 本人から申告のあったケガ・痛み・既往(申告であることが分かる書き方で)
- オイル・アロマのアレルギー
- 飲酒後来店の有無、体調確認が必要な点
5. 会話メモ
- 仕事の繁忙期・出張サイクル(来店が読める材料になる)
- 触れてよい話題、避けたい話題
6. 指名・関係性
- 指名セラピスト、第2希望
- 過去に合わなかったスタッフ(評価ではなく「〇月の来店後、再指名なし」など事実で)
7. 金額・ランク
- 累計売上・平均単価、クーポン利用の履歴
- 会計トラブル・未収の有無
7分類すべてを初日から埋める必要はありません。運用が続く店舗は、最初に必須項目を3つだけ決めています(後述)。
現場の失敗談:カルテに「いい人」とだけ書いてあった
カルテの価値は、文章量ではなく「読んだ人の行動が変わるか」で決まります。
伝わるカルテの書き方4つのルール
- 主観語を事実と数値に置き換える:「強め希望」ではなく「圧は10段階で7、肩のみ4」。「早めに来る方」ではなく「予約の10〜15分前に到着」。
- 必ず日付を付ける:好みは変わります。日付のないメモは、3年前の希望が最新として扱われる事故を生みます。
- 上書きせず、1来店1行で追記する:履歴が並ぶと変化が見えます。「前回よりオプションを追加している」「最近は短いコースに戻っている」といった傾向は、追記型でなければ読み取れません。
- 内輪の略語を禁止し、先頭に「次回やること」を書く:「例のあれ」「いつもの」は引き継げません。冒頭1行に次回の担当が最初に取るべき行動(例:「次回はうつ伏せ長めを提案/前回の腰痛の様子を確認」)を置くと、忙しい日でも必ず読まれます。
書いてはいけないNG記載と、代わりの書き方
カルテは社内文書ですが、スタッフ全員が見て、いずれ退職者も目にした記録です。そして開示や漏えいのリスクは常にあります。以下は書かない、あるいは言い換えるべきものです。
- 外見や人格への評価・侮蔑的な表現(「態度が悪い」)→ 事実のみ記載(「〇月〇日、施術時間の延長を強く要求。規定を説明し了承」)
- 医療的な断定(「〇〇という病気」)→ 「本人より腰痛の申告あり。強い圧は避ける希望」
- 推測した勤務先・家族構成の特定情報 → 業務に必要な範囲に絞る(「平日は残業が多く21時以降の来店が中心」で十分)
- 他のお客様の実名 → 顧客番号やイニシャルで記載
- 出禁・注意顧客の情報を通常メモの中に埋める → 受付時に必ず目に入る場所へ分ける。埋もれたままだと、別のスタッフの受付をすり抜けて予約が通ります(注意顧客の共有方法はこちら)
迷ったときの基準は一つです。お客様本人に見せても説明できる書き方かどうか。これを守ると、記述が自然と事実ベースになり、結果として引き継ぎにも強いカルテになります。
カルテは「開く手間」をなくすと続く
SpaHubは予約・顧客・売上・給与・シフトを一元管理するため、来店履歴や金額が自動で顧客情報に紐づき、カルテを別で作り直す必要がありません。予約画面からそのお客様の記録をそのまま開けます。セラピストは専用アプリ「SpaHub: MY PAGE」から担当客のメモを確認・追記できるので、施術直後のいちばん覚えているタイミングで書けます。
顧客管理の機能を見る →カルテが続く運用|入力タイミングと分担の決め方
施術直後の2分で書く
退店後に書こうとすると内容が薄れ、帰宅後まで持ち越すと書かれません。次のお客様を迎える前の2分をカルテの時間として組み込んでしまうのが、いちばん確実です。所要2分に収めるには、項目が絞られていることが前提になります。
受付とセラピストで欄を分ける
予約経路・金額・注意事項は受付が、施術内容と好み・会話メモはセラピストが書く。二重入力の欄があると、どちらも「相手が書くだろう」と考えて空欄になります。責任者を欄ごとに決めてください。
「読む」タイミングもルールにする
書く習慣だけでは使われません。予約確定時と来店30分前の2回、カルテを開く運用にすると、当日の準備(室温、コースの提案、指名の調整)が前倒しでできます。
最初は必須3項目だけにする
導入初期に7分類すべてを義務化すると、ほぼ確実に形骸化します。まずは「呼び名」「圧の強さ」「次回やること」の3つだけを必須にしてください。この3つは埋めるのに20秒もかからず、効果は初日から出ます。定着してから項目を足すほうが、結果的に早く仕組みになります。
- 自由記述欄を分類ごとに分けた
- 主観語を数値・事実に置き換えるルールを共有した
- 欄ごとの入力責任者を決めた
- カルテを読むタイミングを2回決めた
- 必須項目を3つに絞った
まとめ:カルテは「記録」ではなく「次の来店の準備」
顧客カルテの目的は、記録を残すことではありません。次に来店したお客様へ、誰が担当しても同じ質で応えることです。そのためには、項目を分類し、主観を事実に置き換え、書く人と読むタイミングを決める——この3つで足ります。まずは必須3項目から始めて、今日来店したお客様の分を2分で書いてみてください。その積み重ねが、指名の安定とリピート率の差になって返ってきます。
顧客管理そのものの仕組み化(エクセル・LINE運用からの移行手順)については、メンズエステの顧客管理を仕組み化する方法もあわせてご覧ください。